睡眠の質を高める!眠気や疲れを劇的に解消する睡眠利用法とは?

「最近寝つきが悪く、長く眠れなくなった・・・。なんでだろう?年のせいかなぁ?」
という働き盛りの人は多いのではないでしょうか。

私たちは、年齢とともに睡眠の長さが変化していくことを、なんとなく知っています。しかし、具体的な理由はあまり知られていません。

そこで、「なぜ年を取ると睡眠が変化するのか?」「年齢とともにどう変化していくのか?」ホントのところをご説明しましょう。

また、寝つきの悪さ・眠りの浅さを解決しようと、一生懸命やっているのに、眠れていないアナタのために、自然と眠りを誘う「入眠儀式」のコツを伝授!特別な器具や食品は、必要ありません。

いつものように過ごすことが、一番の「入眠儀式」となるとしたら!?そのカラクリも併せてご紹介します。

目次

まずは覚えよう!「男性=55歳・女性=40歳で睡眠の質が変わる!」

人間は生まれてから年齢を重ねるごとに、徐々に睡眠時間が減っていきます。その中で、男性は55歳・女性は40歳を境に睡眠が大きく崩れます。(その年齢から個人差が大きくなるので、55歳を過ぎても20代と同じように眠れるという人もいます。)

特に女性は、妊娠・出産に備えて母体を形成するために良質な睡眠を10~20代に使えるようにプログラムが組まれているため、いわゆる妊娠適齢期を過ぎた頃に、睡眠の質が急に変化し、寝つきが悪くなったり、眠りが浅く、朝早く目覚めてしまうことがあります。

10代の睡眠を追い求めてはいけない!?

若い頃はぐっすり眠れたし、いくら眠っても眠り足りなかったという人が、年齢によって寝つきが悪く、朝、目覚めても眠った気がしないという状態になるのは、自然な現象なのです。

女性のほうが、男性よりも睡眠の質が変わるタイミングが早いので、眠れなくなってしまったときに、パートナーに相談しても「目をつぶっていれば眠れるだろう」程度にしか取り合ってもらえないことが少なくありません。

そうなると、「分かってもらえない」と思い、眠れない悩みを抱え込んで、いっそう眠りに対して焦りを強めてしまうことも。こんなときに睡眠のコツが共通認識になっていれば、気持ちがすれ違うこともなくなるかもしれませんね。

「良く眠れたというのはどんな感じですか?」

と聞くと、10代の頃の睡眠を頭に浮かぶ人も多いでしょう。人間は、自分の記憶に基づいたことでしか判断できないので、自分が最もぐっすり眠っていた時代の睡眠を思い浮かべたりするのかもしれません。

チャールズ・A・ツェイスラー博士が冠動脈疾患、糖尿病との関連性、脳の機能性などを考慮し研究した結果、ベストな睡眠時間は「年齢による」と正式に発表されました。

睡眠時間について多くの研究がなされ、その後わずかな修正が施されていくと、医療専門家が患者に対し絶対的かつ最適な推奨睡眠時間を伝えるのに役立てられるでしょう。
ハーバード大学医学大学院の睡眠医学教授で国立睡眠財団理事会代表のチャールズ・A・ツェイスラー博士・医師

「新」年齢によって変わる睡眠時間

新生児(0~3カ月)14~17時間(以前のデータでは12~18時間)
乳児(4~11カ月)12~15時間(以前のデータでは14~15時間)
よちよち歩き(1~2歳) 11~14時間(以前のデータでは12~14時間)
未就学児(3~5歳)10~13時間(以前のデータでは11~13時間)
就学児(6~13歳)9~11時間(以前のデータでは10~11時間)
ティーンエージャー(14~17歳)8~10時間(以前のデータでは8.5~9.5時間)
ヤングアダルト(18~25歳)7~9時間(新たな年齢カテゴリー)
成人(26~64歳)7~9時間(変更なし)
高齢者(65歳以上)7~8時間(新たな年齢カテゴリー)

出典:NPO法人「アメリカ睡眠財団」(NSF)の公式サイト

こちらは、人間が生まれてから年齢を重ねていくごとに、睡眠がどのように変化してしくのかを示した表です。(何時間睡眠をとるのが適切かというのは個人差があるので、ここでは、平均睡眠時間を使っています。)

年を取ると睡眠時間が短く・浅くなるワケ

ではなぜ、人間は年齢を重ねるごとに睡眠時間が短く・浅くなっていくのでしょうか。その理由は2つ考えられます。

基礎代謝の低下

人間は生物なので、生きている限りエネルギーを作り続けなければなりません。このエネルギーを作り続ける化学物質の反応のことを代謝と呼び、特に活動するわけではなく、生さているだけで使うエネルギー(心拍や呼吸など)を基礎代謝と呼ばれています。

基礎代謝は、人間の1日の消費エネルギーの7割をも占めていて。睡眠中には、昼間に溜め込んだ物質の分解や神経の修復作業など、たくさん代謝エネルギーを使います。眠るのにも体力が必要というワケですね。

この基礎代謝が、年齢を重ねるにしたがって低下していくため、睡眠時間が短くなっていくのです。

睡眠中に行なわれる脳の活動

睡眠には、記憶を整理するという重要な働きがあり、具体的には、記憶の整理と不要な細胞を消去する作業ですが、パソコンのハードディスク内のいらないデータを消去して、空き容量を作るデフラグと似ています。

昼間に体験したことを、脳内でリプレイして、必要な神経との経路をつなぎ、不必要な神経を消去します。こうすることで、脳内のエネルギー効率が向上し、空き容量も増えて新しい細胞が生まれやすくなるのです。

若いときほど、初めて体験することが多いもの。初体験が多いということは、同時に睡眠中の記憶の整理作業も多くなるので、それだけたくさんの時間を必要とします。

しかし、年齢を重ねて経験を積んでくると、いくらか要領が良くなってきて、新しいことを体験したとしても、過去の経験の組み合わせで対応でき、脳にとってはそれほど新しい体験にはなりません。すなわち、睡眠中に整理しなければならない情報量もそれほど多くならないのです。

このように、睡眠中の情報整理量が減っていくことが、睡眠時間が短くなっていくことの理由の1つと考えられます。

自分に合う適切な睡眠を得られないと様々な障害が発症します

一例として、「眠れないから仕事でストレスを感じる」と、いいますが、そうではなく「眠れていないから、ストレスを感じる」のです。

睡眠になんらかの問題を抱えた人は、そうでない人に比べて、約18年後(40歳をむかえた頃)にうつ病の発症率が著しく高まることが示されました。

出典:厚生労働省

若いときのように眠れなくなってくると、自分の年齢を実感してしまうかもしれませんが、これまで積まれてきた経験により、若いときのような睡眠は必要なくなったという考見等もありますが、睡眠は仕事や健康に大きな影響を与えるものです。

今の年齢には、今の年齢にふさわしい睡眠があります。10代の頃の睡眠を目指して焦ることで、かえって睡眠の質を下げてしまっては本末転倒。今の自分に合った睡眠を、徐々にでも見つけていく方が早道かもしれません。

寝る前の「入眠儀式」が睡眠の質を左右する!?

入眠儀式とはどんなもの?

ロシア・ソチにあるスケート競技場。「君が代」の演奏とともに、日の丸がゆっくりと掲揚されていく。男子ショートプログラムで史上最高得点を叩き出し、金メダルを胸にかけた羽生結弦選手が、表彰台中央の最も高い所に立ち、最高の笑みで会場に手を振った・・・。
冬季オリンピックでのこんなシーンが、記憶に新しいかと思います。

表彰式は、オリンピックのハイライトの1つ。スポーツファンのなかには、表彰式は単なる儀式だから無駄なものだと考える人も、中にはいるでしょう。しかし、表彰式という儀式が用意されているからこそ、勝利はいっそう重みを持ち、競技もより白熟するのです。儀式は、人間の心理面に及ぼす力は、相当大きいのは間違いありません。

これは、睡眠についてもまったく同じことが言えます。眠りにつくというのは、オリンピックのゲーム同様、心理状態が色濃く反映する行為。だからこそ、質のよい睡眠を確実にとるには、ふさわしい儀式が必要となります。それが「入眠儀式」なのです。

「入眠儀式」と言うと、何だかオカルトチックな新興宗教の儀式のように聞こえますが、そうではありません。睡眠医学で用いられる正式な用語。もちろん、何か特別なお祓いをするというワケでもなく、「歯を磨く」「トイレに行く」「パジャマに着替える」といった・・・多くの人が、眠る前に毎晩しているような、何気ない行為こそが「入眠儀式」なのです。

実は、入眠義式には脳を睡眠に導く効果があることが知られていて、毎晩、眠る直前に決まった行為を行なっていると、脳の大脳辺縁系の一部である帯状回前部(たいじょうかいぜんぶ)などが刺激を受けるようになります。すると、脳はその行為を行なっただけで、眠りにつきやすい状態になってくれるのです。

子供の頃(今になっても)、日曜日の夕方に、「笑点」や「サザエさん」のテ-マ曲を聴いただけで、「楽しい週末がもうすぐ終わるんだな・・・」と、寂しい気分になった人も多いでしょう。こうした気分の背後でも、脳内で週明けへの切り換え準備が始まろうとしていたのです。

日曜の夕方に物悲しい気分になるからこそ、脳は月曜の朝から活動モードにスムーズに切り換われます。つまり、「笑点」や「サザエさん」のテーマ曲は、週末から週明けへの切り換え儀式の役割を担っていたというワケですね。

脳のスイッチをオンオフするには、儀式という行為がかなり効果的。質のよい睡眠を手に入れるため、是非、入眠儀式を上手に活用してください。

みんなは入眠儀式で何をしている?

眠る前は、かなりプライベートな時間。眠る環境も、眠る前にしていることも、人それぞれですし、他人に知られることはほとんどありません。それだけでなく、自分の眠る前の習慣を振り返ろうとしても、何年も続けていることが多く、当たり前すぎて客観視しにくいのではないでしょうか。

そこで、「他の人たちは眠る前にどんなことをしているのか?」の実例を、それぞれ要素別に分類してみました。

  • 視覚
    テレビをつけてタイマーで切る、DVDを観る、ゲームをする、ネット検索をする
  • 聴覚
    眠れるCDを聞く、スマホで音楽を流しっぱなしにする、ラジオ・学習CDを聞きながら眠る
  • 体性感覚
    ツボを押す、青竹踏みをする、ストレッチをする、ヨガをする、足湯をする、薄着になって体を冷やす、焼いたにんにくを足の裏に張る
  • 言語
    読書、漫画を読む、雑誌を読む、メールをする、電話をする、SNSにおやすみと書き込む
  • 思考
    起床時間から逆算して眠るタイミングを計る、日記を書く、翌日のスケジュールを立てる、翌日に着る洋服を出しておく、頭の中でしりとりをする、ヒツジを数える、眠れるように祈る、なりたい自分をイメージする
  • 飲食
    寝酒をする、寝タバコをする、レタスを食べる、ホットミルクを飲む、冷たいものを飲む、甘いものを食べる
  • 呼吸
    となりの人に呼吸を合わせる、眠っている人を触る、玉ねぎを枕元に置く

いかがでしょうか?こうしてみると、「そんなことをしたら余計眠れなくなってしまうじゃないか!」と思わずツッコミたくなるものもあったと思います。

しかし、ここで大切なのは、その行動の良し悪しを判断するのではなく、結果を見るということです。より良く眠れるために、または、眠れないときに対処をしている行動なので、その行動をしたことによってぐっすり眠れているかどうかが大切なのです。

仮に、眠る前にしていることがどのような行動であっても、それをすればすんなり眠れて、朝はスッキリと起きられるという結果が伴っていれば、その人にとってその方法は入眠儀式として役立っていることになります。

反対に、普段の入眠儀式とは関係のない、昨日今日見聞きした睡眠の知識でもって、「○○をしなくちゃ眠れない」「○○をしたら眠れない」と思っていたら、その行動によって、かえって睡眠の質が低下してしまうことに・・・。

眠るためのチェックリスト6つ

  1. 決まった時間に朝日を浴びる
    朝に目覚めて太陽の陽を浴びると、からだ中の細胞にある子時計に信号を送ります。動け!と指令がいき心身が活動状態になっていきます。
  2. 休日と平日の起床
    就寝の時間差はメラトニンの分泌される時間をずれさせて、睡眠環境は悪い方行に向かいます。
  3. 電子機器の光は睡眠1時間前にはオフ
    パソコン、テレビなどの強い光を浴び続けるとと、メラトニン分泌時間が抑えられれ、眠気が訪れにくくなります。
  4. やわらかな光でリラックスモード
    少し暗いと感じる程度がリラックスできる照度です。
  5. スリープセレモニーが眠りをさそう
    これが長年行われてきた自分だけの入睡儀式です。生活習慣として自分がリラックスできると感じることを選んでください。
  6. ゆとりのあるパジャマで睡眠効率を上げる
    締めつけがきついものは避けて、リラックスできるパジャマなどを選んでください。

(何かしら疾病がある場合を除き)人間は本来、朝の光が脳に届けば約16時間後には自然に眠くなり、夕方に最高になる深部体温が、夜になってしっかりと下がってくれば深く眠れるようになっています。こうした生理的な睡眠サイクルを作る以前に、「これさえやれば眠れる」と妄信していると、頑張って行動するほど眠れないという負のスパイラルに陥ってしまうのです。

眠る前の脳は、かなり認知機能が低下しているので、冷静な判断はできません。そこに不安が加わると、何とかして眠ろうと焦って、逆に目が冴えてしまうということを、ぜひ知っておきましょう。

大切な日の前夜こそ 普段通りに過ごすべし!

入眠儀式を味方につけてぐっすりと眠るためには、できるだけ就寝直前の生活習慣を変えないようにしたほうが有利。ところが、人生を決める重要な試験・昇進のかかったプレゼン・社運をかけた商談・・・そんな確実に眠らなければならない大切な夜に限って、音楽を聴いたり、ストレッチをするといった入眠儀式を実践しなかったために、大切な日の前だけ眠れないことが、現実にはよくあるのです。

入眠儀式によって脳が睡眠モードになれば、翌日のイベントへの緊張も多少とも緩められます。必ず眠っておかなければいけないときこそ、普段の生活習慣を崩さないようにしてくださいね。

入眠儀式のイメージトレーニングがカギ!

旅先では、ベッドに横になっても、なかなか寝つけなかったという経験がある人は多いでのではないでしょうか。よく、「枕が合わないから眠れなかった」と思われがちですが、普段なら無意識に行なっている入眠儀式を、旅先では行なわないことも原因の1つと考えられます。(いつもと同じ枕に頭を乗せるということ自体も、入眠儀式となっているのかもしれません。)

ただ、ホテルなどに宿泊すると、どうしても普段通りの入眠儀式は行なえないこともあるでしょう。しかも、受験や商談など重要な用件を控えていたりするので。何としても充分な睡眠をとりたいところですよね。

こんな場合は、実際には無理であっても、せめて頭の中だけは、いつもと同じ入眠儀式を行なうようにしてみてください。毎日、着替えて歯を磨き、うがいをして眠るのであれば、現実にはホテルの洗面台で歯を磨いていても、頭の中では自宅の洗面台で歯を磨いているイメージトレーニングを行なうのです。これだけでも、かなりの効果があるハズです。

まとめ

大切な夜も確実に眠りにつくためには、入眠儀式を1つ1つ具体的に決めておき、毎晩、実践しておくことが重要です。また、入眠儀式はできるだけ副交感神経を刺激し、リラックスできることを選んでください。

たとえば、ただ単に歯磨きをするよりも鼻歌を歌いながら歯磨きをしたほうが、自律神経には効果的。また、睡眠用のテーマ曲を決めておいて、就寝の10分前になったら毎晩を音楽をかけるというのもいいでしょう。楽曲だけでなく、自然の音(波や川・鳥の声など)を聴くのもおススメです。

さらに睡眠は、仕事の効率化、そして健康に大きな影響を与えるものです。睡眠は想像以上に大事にするべきなのです。

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